『眠り姫の恋』Ⅲ

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『眠り姫の恋』Ⅲ








 翌日、わたしたちは午前五時半から店で待っていた。


 二十四時間営業の店は飲み屋の帰りに立ち寄る人も多く、午前三時頃までは結構客足が途絶えない。ちょうど五時を過ぎるころからぱったりと人の波が引いて、それから優子の来る六時くらいまで客はほとんど無くなるらしい。


 わたしたちは音楽だけが流れる静かなその店内で、じっと男を待っていた。


「来たわ」


 自動ドアが開き、男が入ってきた。


 五時四十五分。


 身長百六十五センチくらい、やせ型、擦れたジーンズ、ボサボサ髪、無精ひげに猫背で、目つきは悪く、どこか落ち着きがない。


 いくらなんでもこれは趣味が悪い。


「ね、知っている人でしょう」


 優子の声にわたしははっとした。


 父とわたしの職業柄、家には多くのポスターが貼ってある。


 その中の一つに、確かに今、目前にする男と重なるものがある。


 わたしはこっそりと携帯電話に手を伸ばし、上司であり、防犯課の刑事である父に連絡をした。


 見たことがあるはずだ。


 男は逃走中の強盗犯人。いつも見るのは指名手配中のポスターだったのだ。


 すぐに父は駆けつけ、眠り姫のお手柄で、男はあっけなく御用となった。


「まあ、そんな男だったなんて」


 初恋とともに失恋した彼女の落胆は相当なものだろう。


 わたしは声を掛けるのもはばかられ、黙って彼女を送って行った。


 


ところが翌朝早く、元気な声で彼女は電話をかけてきた。


「良かったわ。また眠れるようになったの。やっぱりベッドが一番。もう幸せで、幸せで……。離れてみてどれだけ辛かったか……。だって、万里江、そう思わない?」


 


 変態との相互理解は難しい。


 わたしは頭を掻いて苦笑した。


     


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